急に本が読みたくなって買った一冊。池井戸 潤さんの、下町ロケット。
実家に帰る新幹線のなかで読み始めたら、展開が気になって、止まらなくなりました。
さすが今年の直木賞です。
あまり書きすぎるとネタバレになりますが・・・。
とある町工場が取得した、宇宙ロケットの最先端技術特許。
その特許を巡る、大企業との戦いを描いた一冊です。
主人公は、かつて宇宙科学開発機構(JAXAですね)の研究者としてロケット開発に携わっていたのですが、 打ち上げ実験に失敗してしまい、その責任を負わされ辞めることに・・・。
物語は、JAXAをやめた後、 父親の経営していた小型エンジンを作る町工場の社長に転じて7年経ったところから始まります。
苦労を重ね、ようやく手に入れた特許技術も、大企業の法廷戦略や政治に翻弄され、今にも失いそうな状況。 なかなか光が見い出しにくい状況を乗り越えて、着実に夢を実現しようとする主人公、佃とその従業員。
登場人物一人ひとりに、親近感を覚えずにはいられませんでした。
次々にトラブルが起こるけど、でも最後はハッピーエンド。
ベタな展開でわかりやすいし、意外性は無いかもしれない。
そんなベタな展開でも、時世をよく表現していて、わかりやすい。
読み手に自分のことのように感じさせるところが、支持される理由なのかなと思いました。
主人公にエール贈りたくなったり、ちょっと自分と照らし合わせてみたり。
社会人になって数年。働くことに様々な喜びや葛藤があるからこそ、沁みる一作でした。
社会派好きにはぜひ。